眞田正適の心書

住職の心書48.個性

「良工が材を用いるその木を屈せずして廈を構う。聖君の人を使うその性を奪わずして所を得しむ。」

 訳)腕のある大工は、木材の節や曲がり具合を活かしながら立派な家を建てます。曲がっていたり、扱いにくい人の個性も活かしてこそ、良い仕事ができる。

 優れた宮大工は樹齢千年の木を使い千年もつ寺社を建てます。

 木の持つ個性や育ち方を見極め、癖や特徴に合わせた使い方をするからです。

「その木を屈せずして廈を構う」とは、無理に真っ直ぐさせようとせずに、それぞれの木の個性を活かしながら、まさに適材適所によって家(廈)を建てると言うこと。

人それぞれ個性や能力に違いがあり、先頭に立って仲間を引っ張るのに適した人もいれば、地味な役割を淡々とこなすのが向いている人がいます。

曲がっていても個性。その個性を互いに生かし尊重しあうことで、個人の力では到達する事のできない大きな結果を生むのです。

知心寺住職 正適

眞田正適

眞田正適

中学校を卒業してから高野山にて十年間 真言密教を学び、行を経て地方寺院にて長年奉職するもコロナウイルス感染症が流行により、辞職することになる。 自分自身に何ができるかと自問自答していた時に、知心会代表である岡本真太郎と出会い、「皆が共に学び、共に成長できる場所を作りたい」といった想いに感銘を受け、知心寺を興し、知心寺住職を拝命する。 日々綴っている「住職の心書」では、仏教の教えをもとに心を豊かにする言葉を発信している。

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