仏教で一番有名な教えと言えば、「諸行無常無常」(あらゆるものは変化している)かと思います。
生まれたら必ず亡くなる、常はないと教えてくれている有名なお話に「ケシの実の話」があります。
あるところに亡くした子どもを抱き抱えて深い悲しみにくれている母親がいました。
彼女はブッダの元を訪れ、
「どうかこの子を生き返らせてもらえないか?」
と相談したところ
お釈迦様は
「この村の家からケシの実をもらってくれば、亡くなった子を生き返らせてあげましょう。ただし、これまでに一度も死人を出したことのない家からもらってきてください。」
お釈迦様の言葉を聞いて子どもを助けたいと想いで町中の家を尋ねた母親でしたが、しかし一度も死人を出したことのない家は存在しなかった。
母親は、各家を訪ね歩くうちに段々と気がついていきました。
「自分の子どもだけが死んだと思っていたが、町中の方がみんな家族の死の悲しみを受け入れながら生きているのだと」
死はどこの家にも誰でもやってくることに気付いて子どもを手放して再び歩みだしたお話。
知心寺住職 眞田正適
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