眞田正適の心書

住職の心書574.辛い経験

「前に飛ばしたければ後ろに引け!」

弓を教えていただいた際にそう指導を受けました。
矢を遠くに飛ばす為には引っ張った力が後ろに引けば引くほど、矢を離した瞬間に、想像もしなかったスピードで遠くへ飛んで行きます。

人生での辛い経験も、弓と同じように思います。
後ろに引けば引くほど強い反発を生むということ。
苦しい体験や辛い過去、心に深い傷を負えば負うほど弓矢の矢が、後ろに引かれていく。
その後にある人生の転換点「嫌だと!」「変わりたい!」といった気持ちが弦に乗ることで一気に前に押し出され見たことのないスピード、見たこともない景色が広がる場所へと飛んで行くことが出来る。
本来望むことではないけれど人生で負ってしまった「暗い過去」や「周りに劣っている」と「暗い部分」を理解・体験したからこそ、「光」に向かって進んでいく事が出来るのです。

知心寺 住職 眞田 正適

眞田正適

眞田正適

中学校を卒業してから高野山にて十年間 真言密教を学び、行を経て地方寺院にて長年奉職するもコロナウイルス感染症が流行により、辞職することになる。 自分自身に何ができるかと自問自答していた時に、知心会代表である岡本真太郎と出会い、「皆が共に学び、共に成長できる場所を作りたい」といった想いに感銘を受け、知心寺を興し、知心寺住職を拝命する。 日々綴っている「住職の心書」では、仏教の教えをもとに心を豊かにする言葉を発信している。

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