眞田正適の心書

住職の心書681.便宜 1

ある時、道行く旅人が大河に出会ったが船も橋もない。
 そこで旅人は葦や木や枝を集めて筏を作り、手足で漕いで渡るしかない。
と考えた。早速、旅人は葦や木や枝を集めて筏を作り、手足で漕いで渡った。
渡り終えた旅人はこの筏のお陰で大河を渡ることが出来たからこの筏は捨てるには惜しい。担いで道を歩いて行こうと考えた。

さあこの人は適切な行動を取ったと言えるであろうか?
お釈迦様は弟子たちに質問すると
弟子は「いいえ適切な行動ではありません。」と答えると

お釈迦様を続けてこう説いた。

「この筏は大変役に立った。この筏のお陰で大河を渡ることが出来た。
 だが、この先は不要である。この筏を岸辺に置いて道を歩いていこう。」

このような判断こそ、適切な判断であると知らなければならない。
(中部経典)

成功体験は時には足かせとなる場合があります。

知心寺 住職 眞田正適

眞田正適

眞田正適

中学校を卒業してから高野山にて十年間 真言密教を学び、行を経て地方寺院にて長年奉職するもコロナウイルス感染症が流行により、辞職することになる。 自分自身に何ができるかと自問自答していた時に、知心会代表である岡本真太郎と出会い、「皆が共に学び、共に成長できる場所を作りたい」といった想いに感銘を受け、知心寺を興し、知心寺住職を拝命する。 日々綴っている「住職の心書」では、仏教の教えをもとに心を豊かにする言葉を発信している。

この記事は役に立ちましたか?

参考になりましたら、下のボタンで教えてください。

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP
ログイン