道端に紙屑が落ちているのを見て、お釈迦様は弟子にその紙屑を拾わせてこう質問しました。
「その紙は何に使ったものと思うか?」
弟子は
「この紙は大変良い香りがしますので香を包んでいたものと思われます。」
お釈迦様は深く頷かれ、また歩きはじめました。しばらく行くと今度は縄の切れ端が落ちていて、お釈迦様は弟子に対してその縄を拾わせてこう質問しました。
「この縄は何に使ったものと思うか?」
弟子は
「この縄は大変生臭く感じますのでこれは魚を縛っていたものでしょう。」
お釈迦様は頷かれてで弟子に向かってこう説かれました。
「先ほど拾った紙も、今拾った縄も元々は匂いもなく本来清らかなものであるが、お香を包めば芳しくなるし、魚を結べば生臭くもなる。」といったお話。
(譬喩経)
知心寺 住職 眞田正適
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