毎年、爽やかな秋晴れの日にふわっと薫る金木犀の香りを嗅ぐと、以前勤めていたお寺の出来事を鮮明に思い出す。
辛かった事も、苦しかった事も、もちろん楽しかった事も‥。
「身は花とともに落ちぬれど、心は香とともに飛ぶ。」(性霊集)
訳)人はいつかは花のように離れ離れにならないといけない定めであるが、思い出はいつまでも香り続けて広がっていく。
特に写真があるわけじゃない。
その場所に居るわけじゃない。
しかし香りによって映画のワンシーンみたいに鮮明に想起される。
過去の記憶に戻れるのであれば、良き思い出を思い出せるように今を懸命に生きなければならない。
知心寺 住職 眞田正適
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