「良工が材を用いるその木を屈せずして廈を構う。聖君の人を使うその性を奪わずして所を得しむ。」
訳)腕のある大工は、木材の節や曲がり具合を活かしながら立派な家を建てます。曲がっていたり、扱いにくい人の個性も活かしてこそ、良い仕事ができる。
優れた宮大工は樹齢千年の木を使い千年もつ寺社を建てます。
木の持つ個性や育ち方を見極め、癖や特徴に合わせた使い方をするからです。
「その木を屈せずして廈を構う」とは、無理に真っ直ぐさせようとせずに、それぞれの木の個性を活かしながら、まさに適材適所によって家(廈)を建てると言うこと。
人それぞれ個性や能力に違いがあり、先頭に立って仲間を引っ張るのに適した人もいれば、地味な役割を淡々とこなすのが向いている人がいます。
曲がっていても個性。その個性を互いに生かし尊重しあうことで、個人の力では到達する事のできない大きな結果を生むのです。
知心寺住職 正適
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