眞田正適の心書

住職の心書54.頑張りすぎ

「よくやった。この調子で頼むぞ。」

その日、木こりが1日で18本の木を斧で切り倒した。
 
親方の言葉に励まされた男は明日はもっと頑張ろうと早めに床に入った。
ところが、その日は努力もむなしく15本が精一杯でだった。
疲れているに違いないそう考えた木こりは日暮れとともに床に入った。
夜明けとともに目を覚ました男は今日はなんとしても18本の記憶を超えるぞと自分を奮い立たせて家を出たがその日は18本どころかその半分を切り倒せなかった。

日に日に倒せる本数が少なくなっている現状を親方に報告した。

「これでも精一杯やっているのです。」

相談された親方は彼にこう尋ねた。
「最後に斧を研いだのはいつだ?」
 
木こりは斧を使って木を切る事に精一杯で斧を研ぐという基本的な仕事をしなかったお話。

「良工まずその刀を利くし、能書は必ず好筆を用う。」(性霊集)
訳)腕のある良い職人はまず何よりも先に刃物を研ぎ、優れた書家は必ず良い筆を使う。

道具を研ぐとは「一度立ち止まって自分と向き合いう時間を持つ」という重要さを説かれております。

いつ自分と向き合う時間をもちましたか?

知心寺住職 正適

眞田正適

眞田正適

中学校を卒業してから高野山にて十年間 真言密教を学び、行を経て地方寺院にて長年奉職するもコロナウイルス感染症が流行により、辞職することになる。 自分自身に何ができるかと自問自答していた時に、知心会代表である岡本真太郎と出会い、「皆が共に学び、共に成長できる場所を作りたい」といった想いに感銘を受け、知心寺を興し、知心寺住職を拝命する。 日々綴っている「住職の心書」では、仏教の教えをもとに心を豊かにする言葉を発信している。

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