眞田正適の心書

住職の心書57.伴侶 1/2

四人の妻がいるお金持ちの男がおりました。  
お金持ちの男は年老いて死期が近づいてくると四人の妻を枕元に呼び寄せて言いました。

第一の妻に
「お前は常に気をかけ、寒い日や暑い日に労り、洋服や食べ物でも望むものは何でも言うままに聞いてやった。
そこで頼みがあるのだが私と一緒に死後の世界に来てくれないだろうか」と頼みました。
すると第一の妻は
「私を愛してくださっても一緒に行くことはできません。」と断りました。

男は仕方がないので、第二の妻に
「お前は大変苦労して人と争ってまで得た妻で常に私のそばに置いて大切にしてきた。私と一緒に死後の世界へ行ってもらえないだろうか」と頼みました。
すると第二の妻は
「私を愛して得たのはあなたが勝手に私を求めたに過ぎません。私はこの場でお別れします。」と断りました。

第二の妻に断られた男は仕方がないので、第三の妻に
「お前はお金をかけて育て、慰めあったり語り合ったり時には喧嘩もして共に過ごしてきた。どうかこの私と一緒に死後の世界へ行ってもらえないだろうか」と頼みました。
 すると第三の妻は
「私はあなたの恩を受けておりますから墓場までお見送りいたします。」と断りました。

男は最後に残された第四の妻に
「お前は何一つ思いをかけることもしなかったが、私の意のままに従ってくれた。こんなお前に頼むのはどうかと思うが、私と一緒に死後の世界へ行ってもらえないだろうか」と遠慮がちに頼みました。
 すると第四の妻は
「私は苦しくても楽しくてもあなたの行かれるところならどこへでもお供します」と答えました。

つづく

知心寺住職 正適

眞田正適

眞田正適

中学校を卒業してから高野山にて十年間 真言密教を学び、行を経て地方寺院にて長年奉職するもコロナウイルス感染症が流行により、辞職することになる。 自分自身に何ができるかと自問自答していた時に、知心会代表である岡本真太郎と出会い、「皆が共に学び、共に成長できる場所を作りたい」といった想いに感銘を受け、知心寺を興し、知心寺住職を拝命する。 日々綴っている「住職の心書」では、仏教の教えをもとに心を豊かにする言葉を発信している。

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