物々交換で次々と立派な物へと交換していくといった昔話。
ある貧乏な男が今の生活から抜け出したいと、長谷寺の観音様に一心にお祈りしました。
すると観音様から
「最初に触ったものを持って旅に出なさい」
というお告げをいただきます。
旅に出た男は、つまずいた拍子にわらしべに手が触れました。
そこでお告げの通りわらしべを持って旅を始めます。
途中で顔のまわりに飛び回るアブを捕まえて、わらしべの先に結び付けると、それを見た男の子がアブの付いたわらしべを欲しがりましたが、男は観音様のお告げを信じていたので譲ろうとはしません。
しかし男の子の母親から「みかんと交換してくれないか」と頼まれ交換をすることになります。
次に会ったのは、喉が渇いた商人です。
喉が渇いた商人にみかんを渡すと、商人は御礼に上等な反物をいただきました。
さらに歩いていくと弱った馬を連れた侍に出会いました。
侍は馬が病気になってしまったが先を急いでいるため馬を見捨てなくてはならないと言います。
そこで男は反物と馬の交換を申し出ました。
弱っていた馬は、水を飲ませて一晩介抱してやると馬は元気になり、共に旅を続けました。
進んだ先で大きなお屋敷を見つけます。
屋敷の主人は馬を貸してほしいと言いました。
そして男に留守番を頼み、「帰らなければ屋敷を譲る」と言うのです。
結局、屋敷の主人は戻らず、屋敷は男のものとなり幸せに暮らしたといったお話。
「信じる者は救われる」といった内容とは別に、このわらしべ長者の物語には自分にとって価値がないものに対して相手側が価値を見出していくということを教えてくれている。
つづく
知心寺住職 正適
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