眞田正適の心書

住職の心書713.無謀 1

昔、ある町に貧しい男がおりました。
貧しい男は「こんな生活嫌だ!」と一念発起。

懸命に働いて金貨300枚を貯める事が出来ましたが、ふとしたはずみで手元が狂い、手に持っていた金貨全てを海の中に落としてしまった。

男は気が狂ったように泣き叫び悲しみましたがどうすることもできません。

そして男は決心して言いました。
「たとえ海水を汲んででもあの金貨を絶対に取り戻すぞ!」

そう決心した男は古い桶を持って海辺に行き、海水汲んでは陸の方へ朝から晩まで水を汲み続けたのです。

その姿を呆れて見ていた神様がけなげさに心打たれ、海の魚に向かって言われました。

「魚たちよ海の底に落ちた金貨を取ってきて渡しておやり」

魚たちはすぐに海の底から金貨を拾ってきて男は落とした金貨を無事に手に入れる事が出来た。(摩訶僧祇律)

たとえ不可能と思われる事であっても懸命にやっていれば手を差し伸べてくれる事があります。

知心寺 住職 眞田正適

眞田正適

眞田正適

中学校を卒業してから高野山にて十年間 真言密教を学び、行を経て地方寺院にて長年奉職するもコロナウイルス感染症が流行により、辞職することになる。 自分自身に何ができるかと自問自答していた時に、知心会代表である岡本真太郎と出会い、「皆が共に学び、共に成長できる場所を作りたい」といった想いに感銘を受け、知心寺を興し、知心寺住職を拝命する。 日々綴っている「住職の心書」では、仏教の教えをもとに心を豊かにする言葉を発信している。

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